介護事業設立及び処遇改善加算
介護サービスの種類
介護事業を始めるには提供する介護サービスの種類ごとに指定を受ける必要があります。
介護サービス事業は介護給付サービスと介護予防サービスの2つに大きく分けられます。
介護給付サービスとは要介護者を対象としたサービスで居宅介護サービス、居宅介護支援施設、地域密着型サービスがあります。
介護予防サービスとは要支援者を対象とする介護サービスで、対象者が要支援、要介護にならないよう、さらなる悪化をしないよう改善を図るために提供するサービスです。
これらの介護サービス事業を始めるには、都道府県知事、市町村などから、それぞれの介護サービス事業ごとに指定を受ける必要があります。
介護給付サービスの種類
居宅介護サービス | 訪問サービス | 訪問介護 |
---|---|---|
訪問入浴介護 | ||
訪問看護 | ||
訪問リハビリテーション | ||
居宅療養管理指導 | ||
通所サービス | 通所介護(デイサービス) | |
通所リハビリテーション(デイケア) | ||
短期入所サービス | 短期入所生活介護(ショートステイ) | |
短期入所療養介護 | ||
特定施設入所生活 | ||
介護福祉用具貸与 | ||
特定福祉用具販売 | ||
介護支援 | 施設サービス | 介護老人福祉施設 |
介護老人保健施設 | ||
療養型医療施設 | ||
地域密着型サービス | 地域密着型サービス | 夜間対応型訪問介護 |
認知症対応型通所介護 | ||
小規模多機能型居宅介護 | ||
認知症対応型共同生活介護 | ||
地域密着型特定施設入居者生活介護 | ||
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護 |
通所介護(デイサービス)事業を開業するには
通所介護(デイサービス)事業を開業する場合、事業者の指定申請をして、その指定を受けなければなりません。
そのためには次の各基準を満たしている必要があります。
人員基準
利用者を収容する人数によって変わりますが、一例を記すと、
常勤管理者
管理の職務に従事する常勤管理者
(他の職務、または同一敷地内の他の事業所の職務との兼務が認められます。)
生活相談員
生活相談員(社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、又はこれらと同等の能力を有する者)を1人以上。
看護職員(看護師・准看護師)など
小規模な事業所では必ずしも必要ありません。
介護職員(介護福祉士・ホームヘルパーなど)
利用者が15人以下の場合は1人以上の介護職員を配置する。
利用者が15人を超える場合は利用者が5人または端数を増やすごとに介護職員を1人追加すること。
(生活相談員または介護職員のうち1人以上は常勤者でなければならない。)
機能訓練指導員
機能訓練指導員を1人以上配置すること。
設備基準
- 食堂・機能訓練室・静養室・相談室・備品を備えること。
- 食堂、機能訓練室の面積が1人当たり3㎡以上であること。
- 相談室に遮蔽物を設置するなどして、会話が漏れないように配慮すること。
- 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備
- その他段差の解消や手すり等安全面に配慮し利用者が自分で行動できるようにする。
運営基準
- サービス提供内容の説明・同意
- サービス提供拒否の禁止
- サービス提供の記録
- サービス提供困難時の対応
- 通所介護計画の作成
- 事故発生時の対応
- 緊急時の対応
- 苦情処理
- 運営規定
- 秘密保持
- 衛生管理等
通所介護(デイサービス)開業の流れ
その他、助成金申請を行うことが可能な場合があります。
介護事業を始めようと思われた場合は、事前に必ず専門家へ相談されることをお勧めします。
介護職員処遇改善加算とは
平成27年4月からの介護保険法改正により介護職員処遇改善加算の取扱いが抜本的に変わりました。
具体的には、新たに「加算Ⅰ」が新設され、加算額が最大で前年度(平成26年度)までのおおむね倍額の支給が受けられるようになります。
この加算Ⅰを受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
算定要件
キャリアパス①(職位、職責、職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備)
かつ
キャリアパス②(資質向上のための計画を策定し、研修の実施または研修の機会の確保)
+
新たな定量的要件
賃金改善以外の処遇改善への取組(処遇全般、教育・研修、職場環境の各項目の中から1つ以上)の実施すること。
年度の途中で加算算定へ変更することも可能ですので、お気軽に当事務所までご相談ください。
介護職員等特定処遇改善加算とは
概要
令和元年度の介護報酬改定において、10月から新たに経験・技能のある介護職員に重点化した介護職員の更なる処遇改善を図る「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されました。
算定要件
介護福祉士の配置等要件(加算1のみ)
サービス提供体制強化加算等の最も上位の区分を算定していること。
訪問介護
特定事業所加算(1)又は(2)
特定施設入居者生活介護等
サービス提供体制強化加算(1)イ又は入居継続支援加算
介護老人福祉施設等
サービス提供体制強化加算(1)イ又は日常生活継続支援加算
現行加算要件
現行加算(1)から(3)までのいずれかを算定していること(特定処遇改善加算と同時に現行加算にかかる処遇改善計画書の届出を行い、算定される場合を含む。)。
職場環境要件
平成20年10月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善(賃金改善を除く。)の内容を全ての職員に周知していること。この処遇改善については、複数の取組を行っていることとし、「資質の向上」、「労働環境・処遇の改善」及び「その他」の区分ごとに1以上の取組を行うこと。
見える化要件
特定加算に基づく取組について、ホームページへの掲載等により公表していること。
具体的には、介護サービスの情報公表制度を活用し、特定加算の取得状況を報告し、賃金以外の処遇改善に関する具体的な取組内容を記載すること。
当該制度における報告の対象となっていない場合等には、各事業者のホームページを活用する等、外部から見える形で公表すること。
要件一覧表
介護福祉士の配置等要件 | 現行加算要件 | 職場環境要件 | 見える化要件 (2020年度から) |
|
---|---|---|---|---|
特定処遇改善加算1 | ○ | ○ | ○ | ○ |
特定処遇改善加算2 | X | ○ | ○ | ○ |
加算算定対象外サービス
訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与、特定福祉用具販売並びに介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具販売並びに居宅介護支援及び介護予防支援については算定対象外。
賃金改善ルール
賃金改善を行う職員の範囲
A. 経験・技能のある介護職員グループ
介護福祉士であって、経験・技能を有する介護職員と認められる者。
具体的には、介護福祉士の資格を有するとともに、所属する法人等における勤続年数10年以上の介護職員を基本としつつ、他の法人における経験や、当該職員の業務や技能等を踏まえ、各事業所の裁量で設定。
B. 他の介護職員グループ
経験・技能のある介護職員を除く介護職員。
C. その他の職種グループ
介護職員以外の職員。
賃上げの額と方法(配分ルール)
各グループそれぞれにおける平均賃金改善額等については、以下のとおり。一人ひとりの賃金改善額は、柔軟な設定が可能。
A. 経験・技能のある介護職員グループ
1人以上は、賃金改善に要する費用の見込額が月額平均8万円以上又は賃金改善後の賃金の見込額が年額440万円以上。
C. その他の職種グループ
職員の賃金改善後の賃金の見込額が年額440万円を上回らないこと(賃金改善前の賃金がすでに年額440万円を上回る場合は、当該職員は特定加算の賃金改善の対象外)。
グル―プ間の配分ルール(賃金改善に要する費用の見込額の平均について)
A. 経験・技能のある介護職員グループは、b他の介護職員グループの2倍以上。
B.他の介護職員グループは、C. その他の職種グループの2倍以上。ただし、C. その他の職種グループの平均賃金額が、b他の介護職員グループの平均賃金額を上回らない場合はこの限りでない。
賃金改善を行う職員の範囲
サービス区分 | 介護職員等特定処遇改善加算の区分に応じた加算率 | |
---|---|---|
特定加算1 | 特定加算2 | |
訪問介護 ・夜間対応型訪問介護 ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
6.3% | 4.2% |
(介護予防)訪問入浴介護 | 2.1% | 1.5% |
通所介護 ・地域密着型通所介護 |
1.2% | 1.0% |
(介護予防)通所リハビリテーション | 2.0% | 1.7% |
(介護予防)特定施設入居者生活介護 ・地域密着型特定施設入居者生活介護 |
1.8% | 1.2% |
(介護予防)認知症対応型通所介護 | 3.1% | 2.4% |
(介護予防)小規模多機能型居宅介護 ・看護小規模多機能型居宅介護 |
1.5% | 1.2% |
(介護予防)認知症対応型共同生活介護 | 3.1% | 2.3% |
介護福祉施設サービス ・地域密着型介護老人福祉施設 ・(介護予防)短期入所生活介護 |
2.7% | 2.3% |
介護保健施設サービス ・(介護予防)短期入所療養介護(老健) |
2.1% | 1.7% |
介護療養施設サービス ・(介護予防)短期入所療養介護(病院等(老健以外)) |
1.5% | 1.1% |
介護医療院サービス ・(介護予防)短期入所療養介護(医療院) |
1.5% | 1.1% |
勤続年数10年以上の介護福祉士がいなくても算定可能な制度です。
介護従業員確保のためご活用ください。