株式会社設立
会社法上、会社の種類として株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4種が認められています。
合名会社の出資者は無限責任社員(個人資産の全てが責任の対象)のみで構成される会社であり、合資会社は無限責任社員と有限責任社員の両者から構成される二元的組織の会社です。
合名会社も合資会社も人的信頼関係に根ざした会社であり、いずれも資本金の概念がない会社であることから、株式会社に比して利用は少なくなっています。
合同会社は平成18年5月1日に施行された新会社法により創設された新しい会社類型です。
この合同会社は、合名会社、合資会社と同じく持分会社であるが、有限責任社員のみで構成される点が特徴です。
株主総会の開催手続や公告、現物出資における裁判所の検査役調査を要しないなどと手続が簡素であり、迅速な意思決定を行える、設立の費用が安いなどのメリットがあり、小さい会社のままで維持したい場合は良いでしょう。
デメリットとしては、合同会社はまだまだ知名度が低く、営業を行っていく上で不利になる可能性があること、利益の配分をめぐって内部での問題発生などがあります。
もちろん、最初は合同会社で立ち上げ、後に全社員の同意の上、株式会社に組織変更することも可能です。
しかし、現行の株式会社でも取締役1名の小規模な会社などの機関設計の柔軟化が図られており、合同会社に近い組織をつくることは可能なので、当初より株式会社の設立を進めた方が余計な費用もかからず無難かもしれません。
実際に日本で設立される会社の9割以上が株式会社です。
会社の種類と特徴
法人形態の種類 | 株式会社 | 合名会社 | 合資会社 | 合同会社 |
---|---|---|---|---|
設立に必要な最低人数 | 1人 | 1人 | 2人 | 1人 |
役員 | 1人以上 | 業務執行は社員がする (役員という概念がない) |
||
出資者の責任範囲 | 有限責任 | 無限責任 | 有限責任または 無限責任 |
有限責任 |
出資者の呼び名 | 株主 | 社員 | ||
最高意思決定機関 | 株主総会 | 全社員の合意 |
役員の数と肩書き
取締役、監査役、及び会計参与などを株式会社の役員といいます。
株主が1人で、経営者でもあるような小さな会社の場合は、監査役も会計参与も置かず、取締役1人でもかまいません。
取締役が1人の場合、その取締役が株式会社の代表取締役です。
取締役が複数の場合、その中から1人を代表取締役に選定するのが一般的であり、取締役会を設置する場合には、3人以上の取締役の仲から取締役会の決議により代表取締役を選定しなければなりません。
なお、代表取締役は1人に限られるわけではなく、取締役全員を代表取締役にすることもでき、その場合は、取締役は、各自株式会社を代表することになります。
社長、副社長、専務取締役、常務取締役などという肩書きは、取引先などに会社を代表している人物だという印象を与えます。
このような肩書きの人が、取引先に損害を与えてしまった場合、法律は、その肩書きを信じてしまった者を保護します。
つまり自社が損害を被ることになります。
従業員に高い地位の肩書きを与えて仕事してもらうときは気をつける必要があります。
株式会社の機関設計
株式会社の機関設計のルールの大原則は、株主総会と取締役を設置することです。監査役、取締役会、代表取締役はなくてもかまいません。
ですから、もっともシンプルな機関設計にすれば役員の数は取締役の1名だけですみます。
取締役会を設置していない場合、重要な決定事項については、株主総会を開催して決定しなければなりません。
しかし、株主が同族関係者以外というケースでは、意思決定のつど株主総会を開くことは容易ではなく、機動性に欠けることになります。
そこで登場するのが取締役会です。
取締役会では会社の業務執行を決定し、これに基づいて代表取締役が業務執行を行います。これによりスピーディな意思決定を行うことができますが、取締役会を設置すると、あわせて監査役または会計参与の設置が必要になります。
最低資本金制度の廃止
会社法制定により、資本金についての規制が撤廃されました。この最低資本金制度は、従来、会社設立の最大の障害事由になっていましたが、今後は会社設立に関する費用があれば、会社の設立ができるようになりました。
しかし、会社は設立した後が重要です。
また、業種によっては一定の資本金の額が許認可の要件となっていることもあるので、許認可申請の予定がある場合は、あらかじめ調べておく必要があります。
会社を設立したものの失敗する最大の理由は、企業に必要な資金を十分に確保していなかったことにあります。
事前に必要資金がどれくらいになるのかビジネスモデルを把握し十分に検討する必要があります。
株式会社設立の流れ
会社設立の流れは、会社の概要を決める、定款認証、登記の3つに分けることができます。
会社設立の書類を揃えてから登記が完了するまでは、最短で約3日ほどかかります。もちろん法務局が込んでいる場合などは、時間がかかりますので余裕をもってスケジュールを立てることが大切です。事業を始めるために許認可が必要な場合は、その申請書に登記事項証明書を添付するので、実際の事業開始は、設立が完了してからさらに数ヶ月かかることもあります。
会社の概要を決める
会社の設立方法には「発起設立」と「募集設立」の2つの方法があります。
発起設立とは、家族や友人などがお金を出し合って会社の株式全部を引き受け、かつ全員が発起人となる設立方法です。
募集設立とは、広く一般の人達から資金を集めて株式を引き受けてもらう設立方法です。
通常は手続きが簡単な発起設立で行いうことが多いです。
まず第一に、どこに事務所を置くのか本店所在地を決めます。
会社設立後に変更登記をすることができますが、費用や手間がかかります。
どこに事務所を置くのかはよく検討する必要があります。
その他、会社の名前、事業目的、会社の事業年度、資本金の額などを決定します。
定款認証
会社を設立するには、必ず定款を作成しなければなりません。
定款とは、会社の組織や運営に関する基本的なルール、つまり会社における憲法のようなものです。
定款に記載されたことは、株主、役員ともに守らなければなりません。
株式会社の設立時の定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません。
定款認証とは、定款への署名押印または記名押印が発起人のものであることを公証人の面前で認め、公証人がその旨を記載すること、つまり、発起人による定款作成行為が正しく成立したことを証明するものです。
会社設立後に商号変更や目的の追加など、定款の内容を変更しなければならないことがあります。この場合の定款は公証人の認証を受ける必要はありませんが、法務局に変更の登記をすることが必要になる場合があります。
定款を認証する場合、通常は印紙税として4万円かかります(別途、定款認証手数料も必要です)。
しかし、当事務所は電子定款認証に対応しておりますので、ご依頼いただいた場合は、この印紙税4万円は必要ありません。
登記
登記とは、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社といった会社やその他の法人に関し、重要事項を登録して、取引の安全と円滑化を図るために広く一般に公開する制度のことです。
この登記が完了すると正式に会社が成立したことになります。
登記は法律に定められた方法により行う必要があります。
当事務所では提携している登記の専門家、司法書士がおりますので、この登記手続もお任せください。