NPO法人設立
NPO法人とは
NPOとは「Non=非」「Profit=利益」「Organization=組織」の頭文字をとった略語で、簡単にいうと「営利を目的としない、社会貢献活動を行う民間の組織」と定義できます。 これらの組織に対し、法人格を付与することによって、市民が行う事由な社会貢献活動の健全な発展を促進するためNPO法人制度(特定非営利活動促進法)が開始されました。
NPO法人の特徴
NPO法人は公益法人のひとつの形態であり、公益的な非営利活動として、20項目の活動が列挙されています。以下の特定された分野20項目にわたる公益的な非営利活動を「特定非営利活動」といい、NPO法人の活動は、この20項目のいずれかに該当する必要があります。
活動分野20項目(NPO法第2条一項別表)
保健、医療又は福祉の増進を図る活動
事業例:障害者支援、高齢者支援、施設訪問、点字や手話の教育活動
社会教育の推進を図る活動
事業例:生涯学習活動、ものづくり推進、読み書き教室、パソコン教室
まちづくりの推進を図る活動
事業例:商店街の活性化、コミュニティづくり、地域活性化イベントの実施、まちづくり調査
観光の振興を図る活動
事業例:観光商品開発、地域ブランド作り、郷土の歴史研究
農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
事業例:過疎化防止活動、村おこし活動、漁業振興、都市と農村交流、地産地消
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
事業例:地域楽団、地域劇団、伝統芸能・文化の振興・継承、スポーツ教室・指導、文化・芸術鑑賞
環境の保全を図る活動
事業例:リサイクル活動、野生動物の保護、野鳥の保護、森林保全、ナショナルトラスト、里山保全
災害救援活動
事業例:災害時の救援活動、救援ネットワークづくり、災害予防の普及啓発
地域安全活動
事業例:防犯パトロール、犯罪・事故の防止、交通安全活動、防災マップ作り
人権の擁護又は平和の推進を図る活動
事業例:人権啓発、家庭内暴力を受ける女性の援助、いじめ防止、核兵器廃絶・地雷の禁止の活動
国際協力の活動
事業例:難民支援、発展途上国の開発援助・技術協力、留学生の支援活動や国際交流活動
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
事業例:男女間の差別解消、セクハラ防止、主婦の再就職斡旋、ストーカー被害者の支援
子どもの健全育成を図る活動
事業例:子育て支援、子どもの人権保護、維持の保護、児童保育、学童保育、児童虐待防止、保育施設運営
情報化社会の発展を図る活動
事業例:パソコン教室、ホームページ作り、OSの開発、電子マネー、情報通信ネットワーク作り
科学技術の振興を図る活動
事業例:遺伝子診断・治療、バイオ、ゲノム、ナノテクノロジー、新技術開発、科学技術に関する研究報告
経済活動の活性化を図る活動
事業例:企業支援、コミュニティ・ビジネス支援、産業技術開発、商店街の活性化
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
事業例:ニート・フリーターの就職支援、職業訓練学校、民営職業紹介事業
消費者の保護を図る活動
事業例:商品に関する情報提供、消費者相談
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
事業例:NPO支援、NPOの情報発信、ネットワークづくり、資金支援
前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
※上記の事業例はあくまで例ですので、これ以外の事業も可能です。
この20項目に含まれるかどうかの判断は、常識的に含まれると考えられるものは、積極的に含める」と解釈されています。 またNPO法には、「特定非営利活動を行うことを主たる目的とし」と規定されています。 主たる目的とするためには、特定非営利活動の割合が50%以上を占めていなければなりません。この判断は、活動の事業費の金額などを見て、総合的に判断されることになります。
NPO法に定められたNPO法人の活動目的要件
- 不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とすること
特定の個人や団体の利益を目的とする活動は、特定非営利活動には当たりません。 - 営利を目的としないこと
この部分で誤解される方が多いですが、非営利だからといって無償で奉仕活動をしなければならないわけではありません。 利益を会員や役員に配当や報酬として分配することができないということです。 ですから、従業員・職員に支払う給与は、労働の対価として適当な額であれば、利益の分配に当たりません。 NPO法人が報酬を受け取って事業をすることは全く問題ありません。 - 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと
宗教団体については、宗教法人で法人格を取得することになります。 ただし、宗教団体の関連組織であっても、その組織自体が宗教の教義を広める等を目的としていなければ、NPO法人を設立できます。 - 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものではないこと。
政治上の主義とは、一般的な原理原則をいい、「自由主義」、「民主主義」、「社会主義」、「共産主義」のようなものがあたります。 - 特定の公職の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推進し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと
特定の公職とは、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議員や長がこれに当たります。 - 特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として事業を行わないこと
NPO法人は不特定多数の利益を目的として活動を行う法人なので、特定の者の利益のためのみに活動してはいけません。 - 特定の政党のために利用しないこと
NPO法人は、政治団体化することはできません。 - 暴力団、又は暴力団やその構成員若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制の下にある団体でないこと
暴力団がNPO法人を隠れ蓑にして反社会的な活動を行うことはできません。
NPO法人の組織の要件
- 社員が10人以上いること
NPO法人は、社員10人以上が集まれば法人を設立することができます。 ここでの社員は、従業員のことではなく、総会に出席して法人の運営に参加する表決券を持つ会員のことです。 - 社員の資格を得たり、脱退することに不当な条件を付けないこと
誰でも社員になれることがNPO法人の原則です。好き嫌い、会費が異常に高く通常人ではとても払えないといった入会を制限するようなことは認められません。 また、退会についても、社員はいつでも自由に退会できなければなりません。
社員総会の開催要件
- 総会を年1回以上開催すること
社員総会は株式会社の株主総会にあたるもので、少なくとも年1回以上開催しなくてはなりません。
役員(理事・監事)の定数とその資格要件
- 役員は理事3人以上、監事1人以上いること
理事は必ずしも社員である必要はありませんが、3人以上置く必要があります。 職員と理事は兼ねることも可能です。 監事は、1人以上置く必要があり、監事は理事や職員を兼ねることはできません。 - 役員は規定された欠格事由に該当していないこと
以下の欠格事由に該当する場合は役員になることはできません。
・成年被後見人、被保佐人
・破産者で復権を得ないもの
・禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることが亡くなった日から2年を経過しないもの
・NPO法又は暴対法等により、罰金の刑に処せられ、その執行の終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しないもの
・暴力団の構成員等若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しないもの
・NPO法第43条の規定により設立認証を取り消された法人の解散時の役員で、取消しの日から2年を経過しないもの - 役員のうちには、それぞれの役員について、その配偶者若しくは3親等以内の親族が1人を超えて含まれ、または当該役員並びにその配偶者及び3親等以内の親族が役員の総数の3分の1を超えて含まれることになってはならないこと
NPO法人の業務は原則として、理事の過半数によって決定されることになっています。そのため親族の割合が3分の1以下に制限されています。 - 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
NPO法人の役員(理事及び監事)の報酬について制限が設けられています。 ここでいう報酬とは「役員としての仕事」に対する報酬などの対価という意味です。 理事が有給職員などを勤務している場合は、労働の対価として給料となりますので、これは報酬には含まれません。また、会議などに出席した場合の旅費などは、「費用の弁済」でありこれも報酬には含まれません。
NPO法人設立の流れ
NPO法人設立の流れは以下のような流れとなります。
認証申請書類一覧
認証申請に必要な書類は以下のとおりです。
No | 書類 | 内容 |
---|---|---|
1 | 設立趣旨書 | NPO法人化への趣旨や申請にいたるまでの経緯等を記載したもの |
2 | 定款 | 法人化の目的や事業、組織運営上のルールなどを明文化したもの |
3 | 設立調書の事業年度及び翌事業年度の事業計画書 | 定款で定めた事業の具体的な計画を記載したもの。その他事業を行う場合はその内容も記載 |
4 | 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書 | 事業を遂行していくための予算を記載したもの その他事業を行う場合は別葉として記載 |
5 | 役員名簿 | 役員(理事・監事)を一覧に記載したもの |
6 | 就任承諾書及び誓約書のコピー | 役員になることを承諾することと、NPO法上の欠格事由に当たらないことを誓約したもの |
7 | 役員の住所又は居所を証する書面 | 通常は住民票。役員全員分が必要 |
8 | 社員のうち10名以上の者 名簿 | 社員(正会員)が最低10名確保していることを記載したもの。社員全員を載せる必要はない |
9 | 確認書 | 宗教、政治などの団体や暴力団関係でないことを確認するためのもの |
10 | 設立についての意思決定 証する議事録のコピー | 設立総会の議事録 |
11 | 設立認証の申請書 | 設立認証を申請するための書類 |